平成22年 地域伝統文化総合活性化事業
横浜の近代建築資産の保全・活用によるまちの魅力づくり 記録集(平成23年3月)
 
 
○第1日目
日 時
会 場
参加者
  2011年2月5日(土) 午前(10:00-12:30)
横溝屋敷(鶴見区)
34名
○第2日目
日 時
会 場
参加者
  2011年26日(土) 13:30-16:45
横浜市開港記念会館
32名
■概要
□第1日目
(1) 民家の保存・活用事例における横浜市の特徴
(講師:大野 敏)
(2) 見学
●講座の趣旨
横浜は日本の近代化を担った先駆的都市のイメージが強いと思いますが、その周辺には伝統的な農村
(漁村)景観をよくとどめてきました。こうした農村景観は高度成長期を経て昭和50年代以降急激に失われていきます。その中で横浜市は農村景観とその住宅(民家)の保存活用に特色ある取り組みを見せています。その具体的な様相を、隣接市の大規模民家野外博物館「川崎市立日本民家園」、横浜市の「三渓園」などの民家保存活用事例と比較して概観します。そして具体的な保存・活用事例である横溝家の見学を通じて体感したいと思います。
 
□第2日目
(1) 総論1 歴史的建造物の掘り起こしから、保存、修復、活用のながれ(講師:西 和夫)
今取り組んでいる歴史的建造物の保存問題や町づくりを通して、保存から活用への道筋を考える。そもそも文化財とは何なのか、保存する手法にはどのようなものがあるか、などについても考えます。
(2) 総論2 横浜市の歴史的建造物の現状と行政の取り組み
(講師:横浜市 都市整備局都市デザイン室、教育委員会事務局生涯学習文化財課)
横浜市における歴史的建造物を取り巻く現状と、「歴史を生かしたまちづくり」や文化財制度など、横浜市の制度や近年の取組状況を紹介します。
(3) わが国の歴史的建造物の保存・再生小史(講師:内田 青蔵)
2009年に建築学会近代建築小委員会のメンバーで、『再生名建築』『再生名住宅』
(鹿島出版会)を出版した際に、「再生建築小史」と題して、わが国で行われてきた建築の保存・再生の歴史を簡単にまとめました。今回は、これを基に、スライドを用いながら日本の建築保存の動向を振り返ります。
(4) 保存・活用の取組事例紹介  
申込時に記入していただいた質問や関心事をもとに、講師陣による回答や、参加者のみなさんの意見交換を行います。
 
■講師プロフィール
大野 敏(横浜国立大学大学院准教授)
1962年群馬県生まれ。1984年横浜国立大学工学部建築学科卒業。財団法人文化財建造物保存技術協会、川崎市立日本民家園で文化財建造物の保存修復に従事し、1998年から横浜国立大学勤務。専門は日本建築史および文化財建造物保存修復。近年は、歴史的建造物の維持修理に関して、野外博物館を拠点として技術の伝承・一般への公開・啓蒙ができるのではないかと期待して試行を始めています。また旧津久井郡藤野町の地元組織「ふじの里山くらぶ」と連携して、地域の伝統的な養蚕農家や寺社建築・集落景観などを文化的資産として再発見する活動をすすめています。

西 和夫
(神奈川大学工学研究所客員研究員)
1938年東京都出身。東工大大学院博士課程修了。神奈川大学名誉教授。長野市松代・江津市・長井市などの町並み調査と町づくりを行う。1983年日本建築学会賞、1993年『フィクションとしての絵画』
(共著)で小泉八雲賞。著書に『建築史から何が見えるか』『二畳で豊かに住む』など。

横浜市 都市整備局都市デザイン室、教育委員会事務局生涯学習文化財課
横浜市では、歴史的建造物の保存や保全に関する制度として、歴史的景観の保全を目的に主に外観の保全を図る「歴史を生かしたまちづくり要綱」
(都市整備局都市デザイン室所管)と建造物内部も含めた保存を目的とした「横浜市文化財保護条例」(教育委員会事務局生涯学習文化財課所管)があり、昭和63年の両制度の創設以降、両者が連携しながら取り組みを進めています。

内田 青蔵
(神奈川大学教授)
1953年秋田県生まれ。1975年神奈川大学卒業。東京工業大学附属工業高等学校、文化女子大学、埼玉大学を経て、2009年度から神奈川大学建築学科教授。専門は、日本近代住宅史。近代以降の住まいと生活の変化の関係性に強い興味を持っています。横浜の都市と建築に関しては、赴任してきたばかりでほとんど見たことがなく、現在勉強中です。
 
■参加者の概要
(申込時に「職業・活動」に記入のあった方のみを分類)
・学生 9名
(いずれも建築系の学科)
・建築 14名
・自治体 3名
・市民活動 4名
(歴史的建築の保存など建築関連の活動を含む)
・その他 14名
(建築関連の活動、指定管理者等を含む)
 
■参加者アンケート結果
受講の感想:
・内容が濃く勉強になった。
・時間
(コマ数)がもの足りなかった。
・今後も開催するのであれば積極的に参加したい。
・開催場所がどちらも歴史的建物で良かった。
・体系だったことを学ぶ機会がなかったため、大変ためになった。
・大学では歴史的建造物の保存と活用について学んでいるが、実際に活動をしている方々の生の声、現場の声は重みがあり、保存、再生の難しさを考えさせられた。
 
今後の研修会についての希望:
・具体的に保存活用した例を多く体験したい。
・建物調査、保全活用の実践または実習的なこと。
・歴史的建造物の所有者の考え、気持ち等について直接所有者の方から聞いてみたい。
・不動産の評価の話など突っ込んだ話でのテーマ設定。
・年間を通じての研修会や、修了者の認定、修了者の会のような流れがあるとよい。